各国情勢コラム
Column

インドネシアのビジネスニュース:2025年1月後半

インドネシアが15%のグローバルミニマム税を正式導入(1月16日)

 インドネシア政府は、より健全で競争力のある投資環境を促進するため、グローバルミニマム税率15%を正式に採用したと発表した。
 経済協力開発機構(OECD)によると、グローバルミニマム税は、多国籍大企業が事業を展開するすべての国で最低レベルの税金を支払うことを保証することを目的としている。近年、多国籍企業が税率の低い国に本社を移転させることで納税を回避するケースが増えている。この措置は、こうした企業の行動を防ぎ、税収を安定させることを目指している。
 このイニシアチブは、インドネシアが加盟するG20(20カ国・地域)が主導し、OECDが140カ国以上の支援を受けて世界的に導入したものである。現在までに、少なくとも40カ国がグローバルミニマム税を導入している。
 なお、インドネシアにおける同税の導入は、2024年12月31日に財務大臣が署名した規則に概説されている。多国籍企業は、税務報告書を提出した会計年度終了後15ヶ月以内にグローバルミニマム税を納付しなければならない。但し、初年度については納税者の期限が18ヶ月間延長される。

Pupuk Kalimantan Timur社がインドネシア初のソーダ灰工場を建設(1月20日)

 尿素肥料メーカーであるPupuk Kalimantan Timur社は、東カリマンタン州のボンタン市にインドネシア初のソーダ灰工場を建設すると発表した。
 ソーダ灰または炭酸ナトリウムは、ガラス製造、洗剤、石鹸、化学薬品など様々な産業において重要な原料であるが、インドネシアは現在も国内需要に対応するために年間90万トンのソーダ灰を輸入している。同プラントは年間30万トンを生産する見込みで、輸入への依存を減らしつつ、国内需要の30%を満たすことが期待されている。同工場が本格稼働すれば、ソーダ灰に加えて、副産物として年間30万トンの塩化アンモニウムも生産できるようになる。
 同工場は、東カリマンタン州に位置するPupuk Kalimantan Timur社の子会社のひとつであるKaltim Industrial Estate社の工業団地の16ヘクタールの土地に建設される。建設プロセスは2025年の第1四半期に開始され、完成するまで33ヶ月間がかかると予測されている。なお、2027年末までに商業生産を開始することを目標としている。

2024年のオートバイの国内販売台数が633万台に到達(1月21日)

 インドネシア二輪車工業会(AISI)によると、2024年1~12月の二輪車(オートバイ)産業の業績は2024年を通じて比較的良好であり、国内販売台数が6,333,310台に達したことを発表した。この数字は、前年同期(6,236,992台)比で1.54%増加した。しかし、この実績は、AISIが2024年に予測したオートバイの国内販売台数635万〜645万台をわずかに下回った。
 2024年の国内販売台数633万台は、2018年に達成した国内販売総数638万台の復活でもある。
 インドネシア国内のオートバイ販売台数の大半はスクーター・カテゴリーであり、昨年は90.39%を占めている。次いで、アンダーボーンが5.40%、スポーツバイクが4.21%であった。
 ホンダの現地合弁会社アストラ・ホンダ・モーター社は依然として国内オートバイ市場の高いシェアを占めており、同社の2024年のインドネシア国内オートバイ販売台数は前年比1.9%増の490万台となった。
 また、国内市場に加え、輸出部門も成長を見せている。2024年の輸出台数は572,506台であり、2023年よりも0.43%増加した。輸出におけるカテゴリーの構成比は、スクーター・カテゴリーが52.53%と圧倒的に多く、次いでスポーツが24.15%、アンダーボーンが23.32%となっている。

ExxonMobil社がインドネシアの炭素貯留と石油化学プラントに最大150億ドルを投資(1月22日)

 アメリカの大手石油会社ExxonMobil社は、インドネシアにおける炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトと石油化学プラントの開発に最大150億ドルを投資することに合意したと発表した。プロジェクトの初期投資額は100億米ドルであり、長期投資総額は150億米ドルと見積もられている。
CCS施設はアスリのスンダ海峡周辺に建設される予定で、年間最大3ギガトンの炭素を貯蔵できるように設計されている。同施設が稼働すれば、インドネシア初の大規模CCS施設にもなる。
一方、石油化学プラントについては、ジャワ島に設置される可能性が高いが、現時点では、まだ調査中である。同プラントの建設には約500ヘクタールの土地が必要で、CCS施設から100キロメートル以内の距離が最適である。

 

 

Indosat社がベトナムのEVタクシー会社Xanh SM社と提携(1月24日)

 インドネシアの大手電気通信企業であるIndosat社が、Indosat Business社を通じて、ベトナムのEVタクシー会社であるXanh SM社とパートナーシップを締結したと発表した。
 Xanh SM社は、Vingroup傘下の電気自動車メーカーであるVinfast社が所有するオンライン配車サービスを去年の12月からインドネシアで開始した。
 今回の提携は、情報通信技術(ICT)、モノのインターネット(IoT)、アナリティクスを統合してスマート・モビリティ・ソリューションを構築することで、デジタルトランスフォーメーションを促進することを目的としている。
 スマートモビリティのパフォーマンスを向上させるため、Indosat社は、SIMカードの柔軟な管理と監視を可能にするCisco IoT Control Centerなどのカード管理プラットフォームを通じて、接続ソリューションを提供している。さらに、タクシー車両用のSIMカードや、Xanh SM社のドライバー向けのモバイルプランなどの接続ソリューションを通じて、最適化が強化されている。IoT技術は、速度、加速度、ドライバーの行動など、さまざまな重要な運転指標を監視し、異常や潜在的な車両の問題を検出して安全性と効率を確保する。
 この協業の一環として、両社は、システムの評価と改良のために6ヶ月間のトライアルを行い、その後、段階的に導入を開始する予定である。

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