各国情勢コラム
Column

インドネシアのニュース&トピックス:2024年8月前半

インドネシアは2024年第2四半期に5%の経済成長を見込む(8月2日)

 金融システム安定化委員会(KSSK)は、国内消費、投資、輸出に基づき、2024年第2四半期の経済成長率を5%と予測していることを発表した。また、2024年末までの経済成長率は5%から5.2%と予想している。
 財務大臣によると、2024年第2四半期には、特に製造業および鉱業において輸出実績の増加が見込まれている。輸出増加の要因としては、主要貿易相手国であるインドの好調な経済成長があげられる。
 政府は、2024年国家予算(APBN)政策を最適化し、国民の購買力にとって重要な物価安定を維持するための政府支出に焦点を当てるとしている。また、2024年11月には、同時期に行われる地方選挙が、国の経済成長の主要な原動力である家計消費を押し上げると予想している。

 

 

タスペン社と三菱地所がジャカルタの中心に複合プロジェクトを建設(8月2日)

 国営保険会社のタスペン社は、子会社のタスペン・プロパティ社を通じて、日本のデベロッパーである三菱地所と共同で、ジャカルタ中心部の不動産プロジェクト「トゥー・スディルマン・ジャカルタ」を開発すると発表した。
 トゥー・スディルマンは2棟のタワーからなる複合施設で、3.3ヘクタール(ha)の敷地に建設される。高さ330メートルの第1タワーは、オフィス、アパートメント、ホテル、スカイデッキ、商業店舗施設として使用され、高さ270メートルの第2タワーは住宅用コンドミニアムとして使用される。 
 なお、タスペン社は、トゥー・スディルマン・ジャカルタの初期建設の契約者に、中国建築と大成建設の共同企業体(CSCT-JO)を指名している。

中国BTR社がジャワ島中部でリチウム電池負極工場を稼働(8月7日)

 中国の負極電池材料大手BTR社は、8月7日に中部ジャワ州ケンダルにある製造工場の運転を開始したことを発表した。
 同工場では、年間8万トンのリチウムイオン電池用負極材の生産能力を有している。これはEV150万台に相当する。BTR社は今年第4四半期にプロジェクトの第2段階に進む予定で、第2段階の建設が終了すれば、工場の生産能力は年間16万トンに倍増する。
 ケンダル工場は、BTR社とインドネシア政府が昨年10月に北京で締結した協定に準じたものである。この協定に基づき、BTR社はシンガポールのステラ・インベストメント社と共同で、ケンダルと中央スラウェシ州のモロワリ工業団地におけるバッテリー材料工場の建設に投資することに合意した。同プロジェクトの総投資額は7億7,700万ドルであり、第1段階の投資額は4億7,800万ドルとしている。

インドネシアは製薬業界の自給自足を推進(8月8日)

 インドネシア政府は、輸入への依存を減らし、安定した国内供給を確保するため、製薬会社と協力し、必要不可欠な医薬品原料の国内生産を増やすことを発表した。
 現在インドネシアでは、発熱、高血圧、高血糖、糖尿病、心臓発作などの治療に使用される医薬品の主要原料を少なくとも37種類生産することができる。その中には、パラセタモール、オメプラゾール、アトルバスタチン、クロピドグレル、アムロジピンなどが含まれる。
 医薬品食品監督庁(BPOM)によると、保健省は追加で10種類の医薬品原料の国産化を進めている。これらの10種類の医薬品原料がインドネシア国内で生産され、十分に利用されるようになれば、医薬品の輸入を約1.4兆ルピア(約8790万ドル)に相当する19.42%削減することができるとしている。一方、保健省は国内で入手可能な22種類の医薬品原料の輸入を規制するよう産業省に提案している。

PLN社が発電所でのバイオマス混焼を促進(8月12日)

 インドネシア国営の電力会社PLN社は、火力発電所の混焼プログラムにおけるバイオマスの利用を引き続き促進することを発表した。
 PLN社は、火力発電所の石炭の代替原料としてバイオマスの使用を開始している。2023年までに、46の火力発電所が混焼プログラムを実施しており、合計100万トンのバイオマスを使用し、1.04テラワット時(TWh)の電力が生産された。これは、105万トンのCO2排出量の削減に相当する。
 2025年までにPLN社は、52の火力発電所において混焼プログラムを実施し、バイオマスの使用量を1,000万トン、CO2排出削減量を年間1,100万トンとする目標を掲げている。
 なお、PLN社が使用したバイオマスの種類は、植え替え廃棄物、レッドカリアンドラ、グメリナ、ガマル、インディゴフェラ、もみ殻、空果房、アグロフォレストリー廃棄物などである。

 

 

インドネシア産マグロが日本向け免税品に(8月15日)

 インドネシア政府は、インドネシア商業大臣と日本の外務大臣によるインドネシア・日本経済連携協定(IJEPA)を改正するための議定書の合意文書に事実上署名したことを発表した。
 協定の内容の一つは、インドネシアからのマグロ・カツオ加工品の日本への輸入関税の免除である。具体的には、かつおの缶詰・気密容器入りのもの(HS 1604.14.010)、まぐろの缶詰・気密容器入りのもの(HS 1604.14.092)、かつお節(HS 1604.14.091)、その他(HS 1604.14.099)の4種類が適用される。
 また、上記4つに加え、冷凍キハダマグロ、生鮮ティラピアのフィレ、冷凍メカジキのフィレ、貝類、加工ロブスター、冷凍カニを含む67の水産品について、インドネシアから日本市場向けの関税が免除となる。これらの協定はすべて、両国議会での批准手続きを経て実施に移されるとしている。

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