各国情勢コラム
Column

インドネシアのニュース&トピックス:2024年7月後半

Freeport Indonesia社およびAmman Mineral Internasional社の銅製錬所が稼働に向けて準備(7月17日)

 鉱物の採掘、加工企業であるFreeport Indonesia社およびAmman Mineral Internasional社 (AMMN)が、所有する銅の製錬または精錬施設の稼働の準備が整ったことを発表した。
 Freeportの銅製錬所は、2024年6月初旬に商業運転を開始し、最初の生産を2024年8月から行っている。この製錬所では、年間60万トンから70万トンの銅カソードを生産しており、その他に、銅の副産物であるアノード・スラッジを、年間50~60トンの純金と年間220トンの銀に加工することができる。また、副産物として硫酸、銅スラグ、セレンなどを生産している。生産された銅カソードは、国内または海外のバイヤーへ販売する予定である。なお、この製錬所プロジェクトの累積投資額は、37億米ドル、58兆ルピアである。
 一方、国家戦略プロジェクトでもあるAmmanの銅製錬所は、2024年第4四半期から銅カソードの生産を開始する予定である。この製錬所は、年間精鉱投入量90万トン(ktpa)の設計となっており、さらに、製錬所では年間22万2,000トンの銅カソード、硫酸、金、銀、セレンを生産する。Ammanは、中国非鉄金属工業の外国工程建設(China Non-ferrous Metal Industry's Foreign Engineering and Construction/NFC)およびPengembangan Industri Logam(PIL)などの国際的な請負業者と協力し、製錬所プロジェクトが世界標準に適合するよう取り組んでいくとしている。

 

 

政府が4つの新しい経済特区の設置を発表(7月23日)

 インドネシア政府は、スラウェシ島、バタム島と南タンゲランに、投資総額161兆ルピア(100億ドル)で、4つの新しい経済特区(Special Economic Zones/SEZ)を発足させることを発表した。
 新しい経済特区は以下の4つである。

  • バタム島のNipa経済特区(重点分野:物流、エネルギー開発)
  • 南タンゲランのEdutek Medika Internasional Banten経済特区(重点分野:研究、デジタル経済、教育、健康、クリエイティブ産業)
  • バタム島のInternational Health Tourism経済特区(重点分野:ヘルスツーリズム)
  • 中部スラウェシ州のブンク・グリーン・インダストリー経済特区(重点分野:物流、エネルギー生産・加工)

 現在、国内には22の経済特区があり、368の事業者が事業を展開している。さらに政府は、ヌサンタラ新首都(IKN)地区の1つを含む7つの新しい経済特区の提案を国内企業から受けている。ヌサンタラで計画されている経済特区は、エネルギー供給と鉱業事業に重点を置くとしている。

インドネシアの2024年上半期の水産物輸出が27.1億ドルに達した(7月27日)

 海事水産省(KKP)の海洋水産競争力強化局は、2024年上半期のインドネシアの水産物・魚類輸出額が、前年から約1%増加して、27.1億ドルになったことを発表した。この実績は、今年の年間輸出目標72億ドルの約37.6%に相当する。
 主な輸出品目は、エビ:7億5,579万ドル(27.8%)、マグロ・カツオ・サバ:4億5,664万ドル(16.8%)、イカ・イカ・タコ:3億9,694万ドル(14.6%)、カニ・ロブスター:2億7,515万ドル(10.1%)、海藻類:1億6,238万ドル(6%)である。
 輸出先は、米国向けが最も多く32.8%を占め、次いで中国(20.5%)、ASEAN諸国(13%)、日本(10.5%)、欧州連合(7.1%)となっている。
 一方、2024年上半期のインドネシアの水産物・魚介類の輸入総額は2億1.954万ドルであり、前年同期比35.2%減少した。2024年上半期の海産物・水産物の貿易収支は、2023年同期比6.2%増の24.9億ドル(40兆6700億ルピア)の黒字となった。
  

 

ジャワ9・10号蒸気発電所がアンモニアとグリーン水素を使用(7月28日)

 バンテン州にあるジャワ9・10号蒸気発電所は、生産工程において、グリーン水素およびグリーンアンモニアを使用すると発表した。石炭とともにグリーンアンモニアと水素を使用する発電所はインドネシア初となる。    
 ジャワ9・10号蒸気発電所のオーナー兼オペレーターであるIndo Raya Tenaga (IRT)は、韓国の総合重工業企業であるDoosan Enerbilityと共に、この発電所を環境に優しいエネルギーを使用するハイブリッド発電所にすることに合意した。
 同発電所は、インドネシアにおいて唯一選択的触媒還元(selective catalytic reduction/SCR)技術を採用した発電所であることから、グリーン・アンモニアを導入することができるという。この技術により、ジャワ9・10号蒸気発電所は、燃料としてアンモニアを60%まで使用するハイブリッド発電所になるとしている。

インドネシアの2024年上半期の投資が約510億ドルに達した(7月29日)

 インドネシア政府は、2024年上半期の国内外からの投資が、前年同期比で22.3%増の829兆9,000億ルピア(約510億ドル)であったことを発表した。これは、経済成長率5%以上を維持するために必要とされている投資目標の1,650兆ルピアの50.3%を占めている。
 政府のデータによると、外国直接投資(Foreign Direct Investment/FDI)が、前年同期比16.1%増の421.7兆ルピアであり、上半期の投資の50.8%を占めた。内訳として、シンガポールからの投資が約89億ドルでトップを維持し、中国(39億ドル)、香港(38億ドル)、米国(20億ドル)、日本(18億ドル)が続いた。一方、国内投資は、前年同期比29.4%増の408.2兆ルピアであり、投資総額の約49.2%となった。

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