インドネシアのビジネスニュース:2025年4月前半

ジャカルタのオフィス賃貸がテクノロジーやフィンテックテナントで活況(4月14日)
商業用不動産仲介会社コリアーズ・インドネシア社によると、ジャカルタにおけるオフィスビルの稼働率は依然として停滞を示しているが、ハイテク産業やフィンテック(金融技術)セクターのテナントは活発化していることから、ポジティブなシグナルが出ていると報告した。
同社によると、稼働率はまだ完全に回復していないが、ハイテク分野のテナントが活発化しており、より質の高いビルへの移転だけでなく、新規リースの動きも活発化している。
現在のジャカルタのオフィス市場において、フライト・トゥ・クオリティ(質への逃避:より安全で信頼性の高い物件へと移動する)現象が主要トレンドのひとつである。多くの企業が、低コストで、より優れた設備と効率性を提供するビルに移転している。
また、一部のテナントが新しいビルや設備の充実したビルにオフィスを移転したことも、市場の活性化を後押しした。さらに、公共交通機関へのアクセスが良好な立地が好まれることも、高い需要を牽引する要因となっている。
一方、供給面では、一部のデベロッパーが市況に合わせるために新規プロジェクトの立ち上げを控えているものの、今年も新築ビルの登場が市場の特徴となっている。同社は、この動きが年末まで維持すると予想している。
インドネシアは地熱エネルギーによる発電容量140MWの拡大を目指す(4月14日)
インドネシア地熱協会(API)によると、政府は今年140メガワット(MW)の地熱発電所容量を増強する予定であると発表した。
この増加分の発電能力はインドネシア国内の国営および民間企業の地熱発電所から供給される。例えば、Medco Cahaya Geothermal社(MCG)が所有するイジェン地熱発電所は35~38MW増強し、国営企業のPertamina Geothermal Energy社と民間企業のStar Energy Geothermal社が共同で所有するサラック地熱発電所は55MW増強する。
現在、APIと政府は、インドネシアが10年以内に米国を抜いて世界最大の地熱発電国になれるよう、5.2ギガワット(GW)を目標に地熱発電所の建設を加速するよう後押している。インドネシアは、368カ所に広がる23.74 GWの地熱発電のポテンシャルを持っているが、2024年の設置容量は2.68 GWである。なお、世界最大の地熱発電国である米国の設置容量は現在約3.6 GWであり、インドネシアと米国の差は約1GWである。
エネルギー鉱物資源省は、この目標を達成するため、産業省と川下産業関係者も巻き込み、国家地熱産業のロードマップを作成する予定である。地熱産業のロードマップは、2025年9月までの完成を目標としている。
通信・デジタル省がモバイルSIMカードの使用を抑制する規制を発表(4月14日)
通信・デジタル省は、個人登録番号(NIK)の悪用、データ漏洩、その他詐欺、フィッシング、スパム、オンラインギャンブルなどの潜在的なデジタル犯罪を抑制するために、国内の携帯電話のSIMカード(Subscriber Identity Module)の使用を制限する規制を発表した。
同省は、通信・デジタル大臣規制第7号2025年を発行し、携帯電話通信事業者に顧客データの更新を促すとともに、携帯電話ユーザーに物理的なSIMカードから組み込み式SIMカードであるEmbedded Subscriber Identity Module(eSIM)への移行を促している。同省のデータによると、現在のインドネシアの人口2億8,000万人に対して、SIMカードユーザーは3億5,000万人である。SIMカードが大量に流通していることによって、デジタル空間におけるさまざまな犯罪にSIMカードが悪用される可能性がある。
また、現時点において、eSIMへの移行は強制ではないが、すでにeSIMに対応している端末のユーザーは、個人データのセキュリティおよび個人登録番号の不正使用からの保護の観点から、移行が推奨されている。なお、インドネシアにおいては、eSIMに対応していない端末のユーザーがほとんどであるため、現時点でeSIMに移行しているユーザーは約5%に過ぎないという。
同省は今後、同規制実施の一環として、登録プロセスの本人確認面を強化しつつ、制限の監視を強化する新たな省令を発行する予定である。
Pertamina社、現代自動車、および西ジャワ州政府がバンドンで廃棄物から水素を製造(4月15日)
国営の石油・天然ガス企業Pertamina社は、韓国の現代自動車グループおよび西ジャワ州政府と協力し、バンドン市における廃棄物から水素(Waste to Hydrogen/W2H)を製造するプロジェクトを推進することを発表した。同プロジェクトは、廃棄物をクリーンエネルギーである低炭素水素(水素製造過程で排出されるCO2の量が少ない水素)に変換することを目的としている。
同プロジェクトでは、西ジャワ州のサリムクティ埋立地から発生するバイオメタンガスを利用し、Pertamina社のCNG(圧縮天然ガス)ステーションの水素補給施設において水素に変換される。また、Pertamina社傘下の子会社であるPertamina New & Renewable Energy社(再生可能エネルギー発電)、Pertamina Gas Negara社(天然ガスの輸送および販売)、Pertamina Patra Niaga社(精製石油)が同プロジェクトに参画し、各社はそれぞれの事業分野に応じて役割を果たす予定である。一方、現代自動車グループは、バイオメタンを水素に変換するモジュール式改質技術を提供するほか、水素ステーションを建設する。
同プロジェクトは2027年までの稼動を目指している。
インドネシア中央銀行は2025年3月の小売売上高を前年比0.5%増と予測(4月16日)
インドネシア中央銀行は、イスラム教徒の断食月および断食明け大祭と重なる2025年3月の小売業の売上高が年率換算(前年同月比)で0.5%増加すると予測した。
実質売上高指数(real sales index)は、2024年3月の235.4から2025年3月には236.7へと小幅ながら上昇を記録した。小売業の売上高は、主に自動車の部品・アクセサリー類(前年同期比6.4%)、文化・娯楽用品(1.6%)、食品・飲料・タバコ(1.4%)の伸びに支えられた。全体として、8分類のうち3分類は増加しており、残りは縮小した。具体的には情報通信機器類は前年同期比9%減、家庭用機器などは7.5%減、衣料品類は2.6%減であった。また、自動車燃料は同1.1%減、その他商品類は同1%減となった。
一方、月次ベースでは、2025年3月の小売業の売上高は前月比8.3%増と推定され、前月の3.3%増を上回った。大半のセグメントの売上高は増加し、特に情報通信機器類、食品・飲料・タバコ類、衣料品類の売上高は増加した。この増加は、断食月および断食明け大祭中の一般需要の増加、および割引を提供する小売業者の戦略に伴うものである。
今後の見通しとして、同行は今後3ヵ月、2025年5月のインフレ圧力は緩和すると予測しているが、今後6ヵ月間のインフレ圧力は比較的安定すると予測している。