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タイのビジネスニュース:2025年3月後半


PTT社が日本企業との提携を検討(3月18日)

 タイの国営石油・ガス複合企業PTT社は、二酸化炭素排出量の削減と石油化学事業向けのバイオベース原料の開発に向けて、三菱重工業と
三洋化成工業との提携を検討していることを発表した。
 三菱重工業とは、水素を化石燃料の代替とする技術や二酸化炭素回収・貯留技術の研究を進める計画である。三菱重工は既に天然ガスの30%を水素と混合して発電する技術を確立しており、2030年までに100%水素燃料による発電を目指している。しかし、水素が高コストであることや技術開発に多額の投資が必要であることが課題となっている。
 また、三洋化成工業とは、サトウキビとキャッサバを原料とする新たな石油化学製品をタイ東部ラヨーン県の工場に供給する計画がある。
 PTT社は、2040年までにカーボンニュートラルを達成することを目標としており、日本企業との協力を通じて環境対策を強化していく方針
である。

 

 

コカ・コーラのタイボトラー兼販売業者が無糖飲料に注力(3月18日)

 コカ・コーラのボトラー兼販売業者のHaad Thip社は、消費者の健康志向の高まりと砂糖税の影響を受け、無糖飲料に注力している。
 同社は、タイ南部14県におけるコカ・コーラの販売業者である。同社の2024年の無糖飲料売上は全体売上の約5%を占め、前年比23%増加している。今後は、コカ・コーラと連携し、新たな無糖飲料の開発を進めるとしており、2025年には無糖飲料のカテゴリーで27%の成長を目指している。
 タイでは2025年4月から砂糖税の第4段階が適用され、糖分含有量に応じた税率が引き上げられる。これによりHaadthip社の事業にも影響が及ぶが、同社はコカ・コーラ本社と協力し、味の品質を維持しつつ対応を進めるとしている。また、原材料費や包装費の高騰が課題となるが、可能な限り価格を安定させる方針である。
 同社は2025年に全社売上として87億バーツを達成する目標を掲げており、5〜7%の成長を見込んでいる。さらに、2027年には110億バーツ、2032年には150億バーツの売上達成を目指している。同社は、炭酸飲料の市場シェアを現在の78.3%から80%以上に引き上げるとともに、新カテゴリーへの進出やジュース・飲料水・茶類などの非炭酸飲料の拡充を進め、さらなる成長を図るとしている。

Siam Cement Group社の物流部門が12%の収益成長を目指す(3月19日)

 タイ素材最大手Siam Cement Group(SCG)社の物流部門であるSCGJWD Logistics(SJWD)社は、高成長が期待される事業と輸出の拡大を背景に、2025年の売上を12%増加させることを目指している。
 同社の昨年の売上は247億バーツ、利益は11億バーツであった。同社の成長分野は冷蔵倉庫サービス、自動車および自動車部品輸送、国際
物流である。
 冷蔵倉庫事業では、チェンマイ、サラブリー、パトゥムターニーの3県で冷凍倉庫を合計37,000㎡拡張させる計画であり、事業パートナーとの協力も進めている。
 自動車・自動車部品の輸送については、タイ国内の自動車市場がローン審査の厳格化で低迷する一方、海外輸送の需要拡大が見込まれて
いる。特に中国のEVメーカーBYDの輸送ニーズを背景に、EV関連の輸送サービスを拡大する。
 物流に関しては、2025年のタイの輸出は1.5〜2.5%成長すると予測されているが、SJWD社は米中貿易戦争の影響を注視しつつ、事業効率
向上とコスト削減に取り組むとしている。なお、昨年は2億バーツのコスト削減を達成しており、2025年には9億バーツの事業投資を行うとしている。

 

 

エプソンタイランドが目指す総合的な印刷ソリューション(3月24日)

 エプソンタイランド社は、持続可能な成長戦略の一環として、従来の印刷ハードウェア販売から総合的な印刷ソリューションの提供へと移行する方針を発表した。2025年度にはB2B事業が総収益の25%を占め、来年度には30%へ拡大する見込みである。
 同社は、法人・産業分野の顧客をさらに獲得するために、パートナーを通じてレンタルやサブスクリプションなどのさまざまな形態でハードウェア、ソフトウェア、サービスを組み合わせたトータルソリューションを提供し、B2B市場を開拓する方針である。
 同社は、2025年の事業成長率を6%とし、エコ技術を活用した企業向けインクジェットプリンターが成長をけん引すると見込んでいる。
また、プリンターとコピー機の管理ソリューションを提供するマネージドプリントサービスの拡大や、異なるモデルのプリンターを統合管理する「ミックスフリートソリューション」の導入を進め、商業・産業用印刷ではデジタル化を推進する。プロジェクター市場では法人向けシェアを50%に拡大し、ゴルフシミュレーション向けプロジェクターなどの新製品の販売を拡大する予定である。
 2024年度はB2B事業が同社の成長をけん引し、IT市場全体の成長率が0.4%に留まっている中で、5%の成長を遂げた。同社は複数の製品カテゴリーで市場リーダーの地位を維持しており、エコタンクプリンターの市場シェアは43%、プロジェクターは52%となり、これらの製品が成長をけん引したとしている。

「クラウドファースト政策」は10月1日に開始(3月25日)

 タイ政府は、2025年10月1日により、「クラウド・ファースト」政策を導入し、政府データセンター・クラウド(GDCC)システムを通じて、政府機関のクラウド開発を統一プラットフォームで管理することを発表した。
 同政策により、調達・開発プロセスの簡素化とセキュリティ強化を図り、運営コストを30%削減することを目指している。また予算は、2026会計年度に割り当てられる予定で、約100億バーツが計上される見込みである。
 同政策は、政府機関のクラウドとデータセンターの調達・開発プロセスを効率化し、従来の仕様の策定や調達、プロジェクト検査などの3段階のステップを削減する。2024年には国家デジタル経済社会委員会(NDESC)が「クラウド・ファースト」政策委員会の設立を承認し、官民連携によるクラウドエコシステムの改善と調達プロセスの整備を進めている。
 同委員会は、デジタル技術を活用した行政サービスの効率向上を支援し、政策の監督、進捗管理、評価を行う。また、デジタル経済の促進にも貢献し、持続可能なクラウドインフラの整備を目指すとしている。

 

 

Gulf Development社が1,000億バーツの投資計画を発表(3月25日)

 Gulf Energy Development社とIntouch Holdings社の合併により設立された新会社、Gulf Development社は、2025~2029年の5年間で
1,000億バーツを投資し、エネルギー事業と通信事業の統合を進めるとともに、データセンターの開発を行う計画を発表した。
 タイ大手通信事業者AISの親会社Intouch Holdingsと、時価総額でタイ最大の電力会社Gulfの合併は3月31日に完了し、4月2日から株式取引が可能になる予定である。この投資は、エネルギーと通信事業の再編、データセンターとクラウドサービス開発の支援を目的に活用され、この予算のうち60~70%がクリーンエネルギーを中心とした電力開発に、30~40%は通信・デジタル技術分野に充てられる。
 同社は、2025年半ばには24メガワット規模のデータセンターを開設し、2~3年以内に200メガワットまで拡大する方針である。また、2033年までに総発電容量を現在の8,593メガワットから12,750メガワットへ増強する計画である。一方、ガス事業では今年400万~500万トンの
液化天然ガス(LNG)を輸入し、発電所や工業顧客向けに供給する。
 同社は、この投資計画により、2033年までに事業収益の60%をエネルギー部門、残りをデジタル技術部門が占める見込みであるとしている。

日本ペイントが売上高20%増の120億バーツを目指す(3月28日)

 日本ペイントホールディグスのグループ会社であるNippon Paint Decorative Coatings (Thailand) 社は、今年の売上高を前年比20%増の
120億バーツに引き上げることを目標にすると発表した。
 同社は、売上拡大に向け、回復傾向にあるマンション市場と今後、需要増加が見込まれる建築物改修市場に注力する。さらに、環境認証を
取得するための塗装需要も高まっていることから、同社はエネルギー効率の向上を図る塗料の開発を進める。
 塗料市場は厳しい状況が続いており、2024年は新築需要の低迷や自動車業界の不振により、市場全体が7~8%縮小した。2025年も景気の
減速により、主な納入先である住宅市場も大きく落ち込む見込みである。特に低層住宅の新規供給は、銀行の融資基準の厳格化、家計債務の
増加、消費者信頼感の低下を要因として前年比40~50%減少すると予測される。
 低層住宅の塗装費用は、一般的に人件費が7割程度を占めており、頻繁に塗り直すのは経済的ではないとされている。そのため、耐久性が高い塗料を使用することが、長期的にはコスト削減につながると指摘されている。こうした市場環境の変化を受け、同社は耐久性が高く、環境負荷を低減する製品を投入し、ESG目標を意識した企業への訴求を強化していく方針である。
 同社の2024年の売上は100億バーツとなり、前年比10%増となったが、当初目標の25%成長には届かなかった。2025年は、住宅市場の低迷をカバーするため、建築改修市場への展開を加速させるとしている。

 

 

タイが投資とビザのための新たなワンストップサービスを開始(3月31日)

 タイは、外国人投資家と駐在員向けに投資・ビザ関連のワンストップサービスを提供する「Thailand Investment and Expat Services
Center(TIESC)」を開設したことを発表した。
 同センターは、タイ投資委員会(BOI)、入国管理局、雇用局が共同で運営し、投資申請、ビザ発給、労働許可証の取得手続きに関する
サービスを提供する。同施設は、バンコク中心部パトゥムワン地区のワン・バンコク(One Bangkok) 総合開発地区に位置している。
 今後は、単なる行政サービスの場にとどまらず、タイと海外を結ぶ経済・文化交流の拠点としての役割も果たすことを目指すとしている。

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