インドネシアのビジネスニュース:2025年3月後半

インドネシア、貿易収支の黒字を58カ月連続で維持(3月17日)
中央統計局(BPS)は、2025年2月のインドネシア全体の貿易黒字が31.2億ドルに達し、2020年5月以来58ヶ月連続で貿易収支の黒字となったことを発表した。
2025年2月、インドネシアは219.8億ドル相当の商品を輸出し、一方で外国から188.6億ドルを輸入した。この実績は2025年1月に記録された34.9億ドルの貿易黒字よりも小さいものの、2024年2月の8.3億ドルの黒字を上回った。
この要因としては、国内の主要商品であるパーム油の輸出が増加したことがあげられる。同局によると、粗パーム油(CPO)の輸出が前月比58%以上増加し、2月に22.7億ドルとなった。また、2月の非石油とガス貿易は48.4億ドルの黒字となったことから、プラス傾向を維持することができた。なお、石油とガスの貿易では17.2億ドルの赤字を計上した。
貿易相手国別の黒字額では、米国が最も多く15億ドルを超えた。そのうち電気機械設備の取引が2.9億ドルの黒字を記録した。次いで第2位にはインドが13億ドル、フィリピンが7.5億ドルで続いている。
なお、インドネシアは2月に中国に対して最大の赤字を計上し、貿易収支が17億ドル近いマイナスとなった。この赤字の大部分は、約14億ドルの電気機械設備の貿易赤字が占めている。次に、対オーストラリアとの貿易で4.2億ドルの赤字を記録し、第3位は対ブラジルで1.6億ドルの赤字となった。
Kilang Pertamina Internasional社が廃食用油を原料とする航空用バイオ燃料の試験生産を開始(3月18日)
国営の石油・天然ガス企業Pertamina社の精製・石油化学部門傘下のKilang Pertamina Internasional社(KPI)は、2025年第2四半期に廃食用油を原料とする航空用バイオ燃料「Bioavtur」の試験生産を開始することを発表した。これは、航空機部門向けに環境に優しい燃料を開発するPertamina社の取り組みの一環である。
試験は中部ジャワ州のチラチャップ製油所で実施され、当初の生産目標は1日当たり9,000バレルである。Bioavturは、生産量の3%に廃食用油を混合するコプロセシング方式を採用している。従って、このスキームでは、9,000バレルの航空燃料を生産するために、約270バレルの廃食用油が必要となる。
チラチャップ製油所は、Bioavturの最初の生産拠点であるが、生産システムが安定すれば、プラジュ製油所とドゥマイ製油所でも、Bioavturの製造を検討することになる。この2か所の施設が加われば、Bioavturの生産能力は向上し、インドネシアにおけるBioavturの利用拡大が期待される。
Pertamina社によると、Bioavturの開発は環境に優しい燃料政策を導入している国際便のニーズに応えることを目標としている。例として、シンガポールとマレーシアは、航空会社に対して1%の持続可能な燃料を使用することを要求している。このBioavturの生産により、インドネシアを経由する航空会社は、目的地で適用される規制に従って持続可能な燃料を給油することができるとしている。
2025年の断食明け大祭期間中にオンライン取引が15%~20%増加すると予測(3月20日)
インドネシアEコマース協会(idEA)は、2025年の断食明け大祭期間中(3月28日~4月7日)の国内におけるオンライン取引が、前月比で約15%~20%増加すると予測している。
同協会によると、消費者の購買力は依然として厳しい状況にあるものの、祝日を控えた購買欲、マーケットプレイスによる大幅な値引き、より効率的な物流サービスなど、様々な要因がオンライン取引の成長を牽引している。
断食明け大祭期間中のオンライン取引は昨年と比較して10%~15%程度の成長が見込まれるものの、この数字は例年の増加に比べると緩やかなものになるという。一方、2025年末までの見通しとして、国内のオンライン取引総額は昨年と同様500兆~900兆ルピアに達すると予想されているが、購買力の低下によって、成長は以前より鈍化する可能性がある。
なお、2025年のEコマース事業に影響を与えると予測されるトレンドには、TikTokショップなどのソーシャルコマースの優位性、WhatsAppやライブショッピングを通じたショッピングの人気の高まり、市場における価格戦略や製品選択に影響を与える輸入製品に関する政府の規制などがあげられる。
2024年の水産物貿易収支の黒字が9.1%増加(3月23日)
海事水産省(KKP)は、2024年の水産物の貿易収支黒字が前年の2023年と比べて9.1%増加したと発表した。
この背景には、2024年の輸出額が前年比5.7%増の59.5億米ドルとなった一方、輸入額が2023年に比べて19.8%減少したことがあげられる。
国内の主要な輸出品目であるエビは16.8億米ドルに達し、水産輸出全体の28.2%を占めた。次に、マグロ・カツオは10.3億米ドル(同17.4%)、イカ・タコが8.7米ドル(同14.7%)、カニは5.1億米ドル(同8.6%)、海藻が3.4億米ドル(同5.7%)、タチウオ・ニベが1億米ドル(同1.7%)、ティラピアが0.9億米ドル(同1.6%)、ロブスターが0.9億米ドル(同1.5%)、真珠が0.9億米ドル(同1.5%)である。
輸出品目のうち、2023年と比較して輸出が大幅に増加したものは、マグロ・カツオが11.6%増、イカ・タコが14.6%増、カニが14.7%増、タチウオ・ニベが91.1%増、ティラピアが14.4%増であった。
輸出先別では、米国が最大の輸出先であり、水産物の総輸出額の32.0%に当たる19.0億米ドルを占めている。次いで、中国が12.4億米ドル(同20.9%)、ASEANが 8.5億米ドル(同14.4%)、日本が5.9億米ドル(同10.1%)、EUが4.1億米ドル(同7.0%)となっている。また、2023年と比較して、ASEAN諸国への水産物の輸出が28.3%増加しており、同様に、中国とEUも2023年比でそれぞれ9.2%と23.6%増加した。
フランスとEUがインドネシアを含むアジア数カ国の港湾の安全性向上に提携(3月26日)
国際技術協力のためのフランスの公的機関であるExpertise France社は、欧州連合(EU)とともに、Global Ports Safetyプロジェクトを通じてインドネシアを含む東南アジアおよび南アジアの8カ国、12の港湾における安全性と災害発生時の対処・回復力を高めるために提携したことを発表した。
インドネシアの他に、マレーシア、タイ、ベトナム、カンボジア、フィリピン、スリランカ、バングラデシュが対象国であり、インドネシアにおいては、ジャカルタのタンジュン・プリオク港とスラバヤのタンジュン・ペラック港が対象となっている。
同プロジェクトは、船の火災や事故、セキュリティ問題に対処する能力を港湾に装備することを目的としている。リスク防止と事故管理のための資金を投入し、ベストプラクティスを促進するために専門家を招き、対象となる港湾に機材を供給する。
今後4年間で850万ユーロ(約920万ドル相当)の費用を計画しており、この費用はフランスとEUの双方が出資する予定である。
なお、タンジュン・プリオク港は世界で26番目に稼働率が高い港であり、同港の2023年の処理能力は前年比0.8%増の約730万TEUとなった。また、タンジュン・ペラク港は世界第49位の稼働率で、2023年の処理能力は前年比3.2増の410万TEUとなった。
QJモーターが西ジャワ州における組立工場に1,000万ドルを投資(3月27日)
中国のバイクメーカーであるQJモーター社は、インドネシア市場におけるシェア拡大のために西ジャワ州の組立工場に1,000万ドルを投資することを発表した。
西ジャワ州チカランのデルタ・マス工業地区に建設される予定の同工場の面積は7,000㎡、生産能力は年間15万台を計画している。同社は投資計画の1,000万米ドル(1,659億ルピア相当)のうち、初期投資としてすでに500万米ドル(829億ルピア相当)を投入している。
同計画では、これまでに発売された多くのモデルを同工場で完全ノックダウン(CKD)方式で組み立てられる。また、国内市場のニーズに応えるだけでなく、同工場は東南アジアの数カ国への輸出の生産拠点としても機能する予定である。さらに、拡大戦略の一環として、ディーラー網を現在の8店舗から今年末までに全国20店舗に拡大することを目指している。既存の店舗は、ジャカルタ、タンゲラン、ボゴール、バンドン、チレボン、ソロ、ジョグジャカルタなどである。
なお、インドネシアは東南アジア最大のバイク市場であり、同社は、特に競争が比較的厳しくない250cc以上のセグメントでの市場シェア拡大に取り組んでいる。