インドネシアのビジネスニュース:2025年3月前半

Solusi Sinergi Digital社がインターネットの商用化においてOREX SAIと提携(3月5日)
インドネシアのデジタルインフラ企業であるSolusi Sinergi Digital社(以下、SURGE)は、Open RAN(オープンな無線アクセスネットワーク)ソリューションを提供する日系企業であるOREX SAI社と、インドネシアにおける低価格・インターネット・プログラムを加速させるため、複数年にわたる商業契約を正式に締結したと発表した。
この契約に基づき、SURGEは固定無線アクセス(Fixed Wireless Access/FWA)の導入に必要なすべてのインフラの整備とともに、インターネット接続サービスの展開を行う。一方、OREX SAI社はOpen RANに基づく5G FWAを提供し、より効率的かつ拡張性のある高性能なネットワーク・インフラを手頃なコストで実現する。
システムの機能と操作性をテストするための初期設置を含む現地試験は、2025年後半に開始される予定である。これが完了すると、商用化前の段階に移行する。この段階は2025年末に始まり、ユーザー・エクスペリエンスとネットワーク・パフォーマンスを向上させるため、数百のネットワーク・ポイントが設置される。
その後、本格的な商業化が早ければ2026年に開始される予定である。SURGE社は2030年以降に2万以上のネットワーク・ポイントをカバーするネットワーク展開を目標としている。
インドネシアとオーストラリアが自国通貨のスワップ協定を延長(3月5日)
インドネシア銀行とオーストラリアの中央銀行であるオーストラリア準備銀行は、二国間の通貨スワップ協定(bilateral currency swap arrangement/BCSA)を更新し、5年間延長したと発表した。
BCSAとは、中央銀行が一般的に行っている二国間金融協力の一形態である。この協定により、インドネシア銀行とオーストラリア準備銀行は、最大100億豪ドル(62億米ドル相当)の通貨を相互に購入できるようになった。両国は自国通貨での貿易決済が可能となり、米ドルへの依存度を下げることができる。
オーストラリアとのスワップ協定の最初の契約は2015年に締結され、当時の中央銀行は、最大100億豪ドルまたは約100兆ルピアを3年間交換することに合意した。同契約は2018年と2022年に3年間更新された。5年間の延長は今回が初めてである。
インドネシア銀行は世界中の取引銀行と通貨スワップ協定を結んでおり、中国の中央銀行である中国人民銀行と同様の取り決めを5年間延長した。両者は、最大4,000億中国元(550億米ドル)の自国通貨と、それに相当するインドネシア・ルピアを交換することで合意した。
SGS社が家具・包装試験所を開設し、サービス範囲を拡大(3月6日)
スイスの検査、検証、試験および認証を行う企業SGS社は、中部ジャワ州のスマラン市に家具および包装の試験所を開設し、サービス範囲の拡大に取り組んでいることを発表した。
新しい試験所は、インドネシアの家具生産の中心地スマラン市に位置し、同社の繊維・衣料品試験用の既存施設に隣接している。同試験所は、ヨーロッパおよびアメリカの規格に準拠した各種の試験を実施するための最新技術を備えている。利用可能な試験サービスは住宅用家具(ベッド、マットレス、キッチン用日、子供用家具、収納ユニットなど)、オフィス家具(椅子、机、スクリーンなど)、包装(段ボール包装や、国際安全輸送協会/ISTAの規格に準拠した包装)など、幅広い製品カテゴリーをカバーしている。さらに、布地、皮革素材の燃焼性試験や、金属部品の耐食性試験も行うことができる。
上記の包括的な試験サービスにより、同試験所は、輸出または国内販売される家具製品が安全性、耐久性、機能性の高い基準を満たすことを保証している。
インドネシアとベトナムがロブスターおよび海藻の養殖に関する協力強化に合意(3月11日)
海洋水産省は、インドネシアとベトナムの両国政府が包括的戦略的パートナーシップの下で、二国間の水産養殖協力を強化することに合意したと発表した。この協力強化は特にロブスター、マグロ、海藻の養殖開発分野で行われる。
両国は、水産養殖の規制やデータに関する情報交換、水産養殖技術、貿易、水産物のマーケティングにおける協力の強化、同分野におけるビジネス関係者間の投資やパートナーシップの奨励に合意した。また、この協力は水産養殖分野における人的資源能力を開発するための政府関係者や科学者の交流を含む、教育・研修の側面もカバーしている。
具体的には、両国が合同協力グループを設置し、少なくとも年1回定期的に会合を開き、協力の進捗状況を確認し、今後の戦略的な取り組みを策定する。
同協定は調印日から5年間有効で、両当事者間の書面による合意により延長することができる。
インドネシアが国内初のメタノール工場を建設(3月14日)
エネルギー鉱物資源省は、東ジャワ州ボジョネゴロ市にメタノールプラントを建設する計画を発表した。このプロジェクトは、2026年までのB50バイオディーゼル義務化計画の実施を支援するために行われる。
B50バイオディーゼルとは、軽油(50%)にパーム油のバイオ燃料(50%)を混合したものである。メタノールは、バイオディーゼルの原料である脂肪酸メチルエステル(FAME)を作るトランスエステル化プロセスで使用される重要な成分のひとつである。インドネシアは現在B40(軽油60%:パーム油40%)を導入し、B50を加速する計画では、FAME混合物中のメタノールの割合も増加する。
メタノールの内需は年間約230万トンであるが、国内で生産できるのは30万トンのみで、200万はまだ輸入されている。そのため、政府は現在、ボジョネゴロでのメタノール工場建設に関する国家戦略プロジェクト(PSN)を奨励している。このプラントにより、国内のメタノール生産量の増加が期待されている。
同プラントは10億~12億米ドル、約19兆800億ルピアに相当する投資で建設され、2027年末までに完了する予定である。
マイクロソフト社がインドネシアでクラウド・リージョンを立ち上げ(3月15日)
アメリカの大手ソフトウェア会社マイクロソフト社は、インドネシアのクラウド・リージョン(cloud region)である「インドネシア・セントラル」が2025年の第2四半期に稼働を開始すると発表した。
クラウド・リージョンとは、大規模なクラウド・サービスを可能にするデータセンターの集合体である。インドネシア・セントラルは世界60カ所以上のMicrosoft Azureクラウド・リージョンのグローバル・ネットワークの一部となる。
インドネシア・セントラルには、3つのアベイラビリティ・ゾーンがあり、各ゾーンは、低遅延接続を確保するために近接しているが、停電や地域災害による中断のリスクを軽減するために適度に離れたデータセンターのセットで構成されている。さらに、インドネシア・セントラルは、世界中のマイクロソフトのクラウド・リージョンで実施されている厳しいセキュリティ基準を満たしている。これには、物理的なデータセンター・セキュリティ、ネットワーク・セキュリティ、Microsoft Azure環境全体のハードウェアおよびソフトウェア保護が含まれる。
同社の試算によると、インドネシアにクラウド・リージョンを設置することによる経済効果は、25億米ドル、約41兆ルピアと予測されている。この数字は、マイクロソフトとそのパートナー、そしてクラウドの顧客が今後4年間で新たに生み出す経済価値総額152億米ドルの16.5%に相当する。
また、インドネシア・セントラルの始動により、企業や公共機関は、同国の規制要件を満たしながら、同国内でデータを安全に保管できるようになる。この投資によって、現地の新興企業のイノベーションが促進され、特に金融、医療、製造、教育などの分野における政府のデジタル・ロードマップが支援されることも期待されている。
現地法人であるマイクロソフト・インドネシア社は地元の大学や組織とも提携し、2026年までに100万人のインドネシア人にAIとクラウドのスキルを身につけさせることを目標に、デジタル人材の育成に取り組んでいる。