インドネシアのビジネスニュース:2025年2月後半

インドネシア、マレーシア、タイが自国通貨使用の整合化に合意(2月17日)
インドネシア中央銀行、マレーシア中央銀行、およびタイ中央銀行は、現地通貨取引フレームワーク運用ガイドライン(Local Currency Transaction Framework Operational Guidelines。以下:LCTF OG)の整合化に合意したことを発表した。
この合意は、インドネシア、マレーシア、タイの3カ国が、地域の貿易・投資取引における現地通貨の利用を促進するという決意を示したものである。これにより、クロスボーダー取引の範囲が拡大される。これまでは物品、サービスの貿易、直接投資のみが規制の対象だったが、今後はポートフォリオ投資も対象となる。インドネシア中央銀行によると、この取引範囲の拡大は、投資家が現地通貨で取引する機会も増え、為替リスクも軽減されるという。
また、この整合化により、金融機関とその利用者の双方にとって取引プロセスをより効率的で透明性の高いものにするため、二国間ガイドラインが統合される。さらに、三行は対象となる商業銀行に対し、LCTFへの参加と拡大を支援することを奨励している。
今回の取り組みにより、インドネシア、マレーシア、タイにおける現地通貨での二国間貿易取引は、2018年と同様に増加すると予想される。
なお、3カ国は、2018年初頭に、初めて現地通貨決済のフレームワーク(Local Currency Settlement Framework)を立ち上げた。このイニシアチブは、3国間の貿易・投資取引において、ルピア、リンギット、バーツの利用拡大を奨励するための最初の取り組みであった。
インドネシアのパーム油輸出が14.4億ドルと2桁減少(2月18日)
中央統計局(BPS)によると、2025年1月のインドネシアの主要商品であるパーム油の輸出が大幅に減少したと発表した。
2025年1月のインドネシアの粗パーム油(CPO)とその派生品の輸出は、2024年12月の18.9億ドルから24.1%減少し、14.4億ドルとなった。2024年1月のインドネシア産パーム油輸出総額は17.2億ドルであったため、前年同月比16.7%減となった。
同局のデータによると、インド、パキスタン、中国などの主要輸出国へのCPO輸出は大幅に減少している。例として、2025年1月のインド向けCPOとその派生品の出荷量は59,500トンであり、2024年12月と比較すると43.7%の減少となった。なお、2024年1月のインド向け輸出量は約4,300,000トンであったため、前年同月比は99%減となった。
また、2025年1月のパキスタン向け輸出は前月比52.9%減の176,100トンとなり、中国向けCPOの輸出は、2024年12月比76.9%減の39,600トンとなった。
インドでCPOの輸出が大幅に落ち込んだ要因としては、インドの植物油の価格が急落していることが要因であると見込まれている。
インドネシアの履物産業、2025年に17%の成長を予測(2月19日)
インドネシア・フットウェア協会(Aprisindo)によると、インドネシアの履物産業は2025年に12〜17%の成長が予想されていると発表した。
業界の業績に関して、国内市場は低迷するものの、輸出部門はプラスの数字を示した。2024年第2四半期まで、インドネシアの履物産業は前年同期比で3.9%の成長を記録した。さらに、2025年1月のインドネシアの対米履物貿易は2億米ドルの黒字を記録し、前期と比較して大幅な増加を示した。これを機に履物メーカーは現在、米国を有望な市場として見ており、米国市場の拡大に注力している。特に、トランプ米大統領が数カ国に高額の輸入関税を課すという政策を利用して、履物メーカーは靴製品の輸出拡大を目指している。
一方、輸出が伸びているにもかかわらず、2023年の国内履物消費量は約3億6,200万足となった。一人当たりの消費量は年間約1.28足であり、国内市場の巨大な潜在力と比較すると相対的に低い数字である。その背景にはインフレの影響、特に食品部門のインフレが消費者の購買力にも影響を与え、さらには国内需要にも影響を与えている。
なお、インドネシアは世界の履物生産量のトップ5に入っており、2023年の生産量は8億700万足であり、そのうち約4億4,500万足(55.4%)が輸出されている。
インドネシアのエジプト向け非石油・ガス輸出が22兆ルピアに達成(2月22日)
貿易省は、2024年のインドネシアからエジプトへの非石油・ガス商品の輸出が13.7億米ドル、およそ約22.3兆ルピアに達したと発表した。この数字は同省が設定した伸長率4.46%の目標に比べて16.4%増加し、過去3年間で最高となった。
2024年のインドネシアとエジプト間の貿易総額は17億3,000万米ドル、約28兆2,000億ルピアに達した。この数字は2023年の15.1億米ドル、約24.6兆ルピアに比べ14.6%増加した。
2024年のインドネシアからエジプトへの輸出額は15.2億米ドル、約24.7兆ルピアに相当し、この数字は、2023年期間の13.1億米ドル、約21.3兆ルピアに比べて16.4%増加した。一方、エジプトからインドネシアへの輸入額は2億700万米ドル、約3.37兆ルピアであった。2023年の2億100万米ドル、約3兆2,700億ルピアに比べ、3.8%の伸びであった。
輸出と輸入の差額では、2024年のインドネシアの貿易収支は13.1億米ドル(21.3兆ルピアに相当)の黒字となった。
2024年のインドネシアからエジプトへの主な輸出品はパーム油とその派生品、コーヒー豆、四輪車、木材製品、鉄製品、ココナッツとその加工品、繊維糸製品、植物油、電子製品、自動車タイヤである。一方、エジプトからインドネシアへの主な輸入品は国内産業用の原材料または補助材というカテゴリーで占められていた。この中にはリン酸肥料が含まれ、次いでデーツ製品、工業用ジャガイモ、柑橘類オレンジ、オリーブ油、コリアンダー種子、アニス、ブドウ、木製パネル、印刷書籍などが含まれている。
1月のQRISの取引額が49億ドルに達する(2月24日)
インドネシア銀行は、2025年1月の全国QRコード決済システムまたはQRISの取引額が、約80兆9,000億ルピア(約49億ドルに相当)に達したことを発表した。この実績は前年比170.1%増である。
QRISとは「クイックレスポンスインドネシア標準」の略であり、QRコード決済国家標準である。インドネシア銀行は各種のQRコード決済を一元化するために2019年に導入を開始した。
同銀行によると、2025年1月のQRコード決済システムの取引件数は約7億9,080万件であり、約3,660万の加盟店がQRISシステムを利用したと報告した。
インドネシア銀行は現在、近距離無線通信を利用した新技術「QRIS Tap」を開発中である。QRIS Tapは、利用者がQRISバーコードをスキャンする必要がなくなり、端末を決済システムに近づけるだけで決済できるようになる。同銀行はすでに、ジャカルタの国営ダムリ・バスでQRIS Tapの試験運用を開始している。3月中旬までにQRIS Tapを開始する計画が進行中である。
同銀行はさらに、公共サービス加盟店に対して3月14日からQRIS決済を利用する事業者に課される手数料(Merchant Discount rate/MDR)を0.4%から0%に引き下げる予定である。
ダイハツが2兆9,000億ルピアの第2組立工場を竣工(2月27日)
ダイハツ工業社のインドネシア現地法人であるAstra Daihatsu Motor社(ADM)は、西ジャワ州東カラワン市の工業団地に位置する新カラワン第2組立工場(KAP2)が竣工したと発表した。ADM社の6番目の工場となる同施設は、約2.9兆ルピアの投資で建設された。
同施設の面積は26ヘクタール以上を有しており、ボディ、塗装、組立の3つの主要設備を一体化した年間最大14万台の生産能力を持つ。また、ADM社の工場は、国内および海外市場向けに合計で年間53万台以上の自動車を生産することができ、生産される全車両の現地化率は80%を超えている。
なお、同施設は主に国内および海外向けに「ダイハツAyla」と「トヨタAgya」などのLCGCモデル(Low Cost Green Car: 低コストのグリーン・カー)の自動車を生産するとしている。