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タイのニュース&トピックス:2024年11月後半


タイ経済は2025年にリスクを回避、ただし成長は限定的(11月18日)

 タイ国家経済社会開発評議会は、タイ経済の成長率が2023年の1.9%から今年は2.6%となり、2025年も上昇を維持すると予測している。
 タイ経済は2025年に2.3%から3.3%の成長が見込まれている。成長の主な原動力としては、政府消費と投資の増加、国内民間需要、観光部門の継続的な回復、輸出の持続的な拡大などが挙げられる。
 同評議会によると来年のマクロ経済政策運営の優先事項として、輸出部門の継続的な成長の促進と、アメリカの新大統領の政策に起因する
潜在的な貿易障壁への対応準備が重要だとしている。さらに、政府の支出額が目標値を確実に達成することで投資を加速させる必要がある。
 政府投資は、来年予想される貿易障壁の影響を緩和すると考えられており、投資支出を迅速化し、タイの生産部門(特に建設業と工業製造業)を刺激するための追加の投資計画を策定することが必要とされている。2025年の家計債務は高水準にとどまると予想されており、今後の
債務軽減措置の有効性を注視する必要がある。
 同評議会は、来年、民間消費と投資がそれぞれ3%と2.8%増加すると予想している。米ドル建ての輸出額は2.6%増加すると予想され、総合インフレ率は0.3~1.3%の範囲と推定される。経常収支はGDPの2.6%の黒字を記録すると予測している。

 

 

東部経済回廊(EEC)が新医療センターの開発を承認(11月20日)

 「東部経済回廊(EEC)」開発を担当するEEC事務局は、東部経済回廊(EEC)の育成対象となる産業「Sカーブ産業」への投資拡大という
政府の目標を支援するため、ラヨーン県プルアックデーン地区に医療・健康センターを開発する計画を承認したことを発表した。
 同センターは、プルアック・デーン地区の26ライ(1ライ=1,600㎡)の土地に建設される予定であり、医療および健康ソリューションに関連する投資を促進するのに役立つと見込まれる。同局は、ヘルスケアやSカーブ産業の対象となる産業「ウェルネスツーリズム(旅行を通して心や身体のバランスを整えたり、リフレッシュしたりする観光)」を含む新しい産業の発展を期待している。
 その他のプロジェクトには、マップタプット深海港、3つの空港を結ぶ高速鉄道システム、ウタパオ航空都市、チョンブリ県のレムチャバン
深海港などの開発が含まれている。深海港は、EECの主要なインフラ開発プロジェクトの一つで、タイの先端的な技術産業の中心地となることが期待されている。

PTT Global Chemical社がPTT Asahi Chemical社から撤退(11月22日)

 PTT Global Chemical社は、アジアでの競争激化により、旭化成との合弁会社である石油化学会社PTT Asahi Chemical社から撤退を決定したことを発表した。
 米国が中国からの製品、特にプラスチック製品に高い関税を課すことを決定したことを受けて、中国企業がアジアへの石油化学製品の輸出を増加させていることから、アジア市場での競争が激化している。
 PTT Global Chemical社は、この影響を大きく受ける可能性が高く、製品価格の低下に繋がりかねないことから、撤退を決定した。PTT 
Global Chemical社の撤退は、11月15 日の株主総会で承認されており、撤退手続きは2028年までに完了する見込みである。
 PTT Global Chemical社は、石油化学市場における競争の激化の影響を受けて、前年同期の収益が14億バーツの利益だったのに対して、今期は193億バーツの損失となった。
 なお、PTT Asahi Chemical社は、PTT Global Chemical社からの投資がなければ、2025年1月1日から顧客への製品の販売と供給を停止する必要があるとしている。

 

 

ミシュランがEV政策を受け、タイへの投資を集中(11月25日)

 タイヤ大手メーカーのミシュランは、タイへの投資を拡大することを発表した。タイ国内の自動車販売は低迷しているが、政府の電気自動車(以下、EV)推進政策の恩恵を受けることを期待している。
 同社はタイヤ製造に年間7,000億トン以上の天然ゴムを使用しており、今後3年間でタイでの生産能力と投資を増やす計画である。
 同社は1987年にタイで設立され、タイ国内に5つの工場を所有し、8,000人以上の従業員を雇用している。これまでの投資額は400億バーツを超えており、これらの工場の生産能力は年間910万本で、最大1,600万本である。
 同社の製品は、約60%が輸出されており、40%が国内で販売されている。タイの自動車販売は、家計債務が増大する中で銀行が自動車ローンの基準を厳しくしたことで低迷しているが、ミシュランは、従来のガソリン車と比べて重い重量となるEV車を支えることのできるタイヤを開発することで、EV時代に適応していく考えである。また、同社は、タイヤ生産におけるリサイクル材料の使用を増やすことで、より厳しい環境基準を採用することに取り組んでおり、リサイクル材料の割合を現在の 30% から 2050 年までに 100% に引き上げるとしている。

BCPG社がベトナムの風力発電所2か所で45億バーツ相当の株式を取得(11月26日)

 タイの再生可能エネルギー大手BCPG社は、ベトナムの2か所の風力発電所の株式を45億バーツで購入し、東南アジアでの事業を拡大することを発表した。
 今回、同社が購入した風力発電所は、チェビエンタイグエン風力発電所(49.5MW)とファットトリエンミエンヌイ風力発電所(49.5MW)である。株式購入取引は、2025 年第 1 四半期中に完了する予定である。
 同社は、2023年に600MWの発電能力を持つラオスのモンスーン風力発電所の開発および運営ライセンスを取得している。ベトナムの国営電力網に電力を供給するモンスーン風力発電所の建設は現在89%完了しており、同施設は来年初めに試運転を開始する予定で、2025年後半には
稼働開始が見込まれている。今回のベトナム中部のジャライ(Gia Lai)省にあるこの2カ所の風力発電プロジェクトは、同社が投資したラオスの風力発電所に次ぐ、2カ所目の風力発電所となる。
 ラオスとベトナムの再生可能エネルギープロジェクトは、同社の「Greener Diversified Portfolio」プロジェクトの一環で、再生可能エネルギーの割合を今年9月時点の62%から2030年までに70%に引き上げる予定である。同社は現在、タイ、台湾、ラオス、ベトナム、フィリピン、
米国で太陽光発電、水力発電、風力発電、天然ガス事業を展開しており、今後も再エネ拡大に向けた取組を進めるとしている。

 

 

電子取引開発庁がAIガバナンスフレームワークの閣議承認推進を発表(11月27日)

 電子取引開発庁 (ETDA)は、タイ政府が医療費、農業、教育、エネルギー、金融分野での課題を解決するためにAIを活用し、公的機関向けの
AIガバナンスフレームワークの閣議承認を推進すると発表した。
 AI(特に生成AI)の活用には、セキュリティー面やプライバシー面など様々なリスクと制約があり、組織がこれらを活用する上では、適切なガバナンスの元で使用する必要がある。
 業務にAIを導入している組織は年々増加しており、将来的には73.3%の組織がAIを導入すると予測されている。その一方、AI倫理を業務に
既に統合している組織はわずか16.5%であり、今後は、AIの倫理的な使用とガバナンスがますます重視されるようになる。
 AI技術は、技術革新が活発であり、過剰に規制されるとエコシステムに影響を及ぼす可能性があるため、AI関連の法・規制はまだ制定されていない。ただし、公共部門と民間部門向けのガバナンスガイドラインは多数整備されており、例えば医療分野では、関係する規制当局がAIに
関する特定の規制の導入を検討している。
 同庁では、組織が生成AI技術を包括的に理解できるようにするための組織向けの「生成AI ガバナンス ガイドライン」を導入している。今後は、公共部門においてもAI活用を支援するため、公的機関の幹部向けの AI ガバナンス ガイドラインを閣議に提示するとしている。

貿易政策戦略局がタイの今年の輸出は4%増加すると予想(11月27日)

 貿易政策戦略局(TPSO)は、主要貿易相手国の経済回復と世界的な金融政策の緩和により、タイの今年の輸出は前年比4%増加し、当初の
目標(1~2%増)を上回る可能性があることを発表した。
 10月の輸出額は前年比14.6%増加して272億ドル(8,970億バーツ)となり、4か月連続で増加した。輸入は同15.9%増加して280億ドル
(9,350億バーツ)となり、貿易赤字(輸出額から輸入額を引いた額)は7億9,400万ドル(3,800万バーツ)となった。
 2024年1-10月までの10か月間で、タイの輸出は前年比4.9%増加して2,500億ドル(8兆8,000億バーツ)となり、輸入は同6.6%増加して
2,570億ドルとなり、貿易赤字は68億ドル(3,450億バーツ)となった。
 2024年の輸出見通しについて、貿易政策戦略局は今年残りの期間も堅調に成長すると見込んでおり、成長率は4%に達し、年間目標の2%または2,960億ドル(10兆バーツ)を上回ると予想している。なお、同局は、この見通しについて、主要貿易相手国の産業部門の回復、世界的な
金融政策の緩和、ホリデーシーズン中の農産物および食品の輸出の増加、輸送費の低下による物流コストの削減によるものであるとの見解を
示している。
 その一方で、トランプ氏が1月に大統領に就任した後の米国の貿易政策に関する不確実性、為替レートの変動、進行中の地政学的緊張、タイの米輸出に影響を与える可能性のあるインドの米輸出政策の変更による影響に対する懸念は依然として残っており、同局はこれらに対処するための戦略を策定していくとしている。また、同局は、タイ商工会議所、タイ工業連盟、タイ全国荷主協議会(TNSC)との協議、および海外の商業事務所からの意見を踏まえ、2025年の輸出目標を設定するとしている。

 

 

2025年の生産が復活すると予測(11月28日)

 タイ工業経済事務局(OIE)は、タイの製造業生産指数(MPI)が、消費者の購買力の弱さと高水準な家計債務により2024年に1.6%縮小する見込みであることを発表した。また、来年は1.5~2.5%成長する見込みであることを併せて発表した。
 今年の製造業生産指数は1.6%縮小し、工業部門のGDP成長率は-1%と予測されている。諸外国からの安価な製品の流入により、タイの消費者の多くが国産品ではなく安価な輸入品を購入しており、国内の製造業者は大きな打撃を受けている。また、銀行や金融会社は不良債権を懸念し、自動車ローンの申請者に対して厳格な融資基準を適用する慎重な方針を維持しているため、国内の自動車販売も低迷している。住宅分野においても、新築住宅の建設数が減少し、不動産部門は低迷している。
 こうした中で、タイ政府は景気浮揚に向けた新たな政策を検討しており、さらに来年は、観光業の継続的な成長、投資の増加、自由貿易協定の増加が加速することが見込まれている。これにより国内経済や貿易(特に輸出)が促進され、GDP、MPI(製造業生産指数)ともに成長すると予測している。

 

 

タイ商務省が外国企業運営の電子商取引プラットフォームに事業登録と国内事務所開設を義務化(11月29日)

 タイ商務省は、安価で低品質な製品の流入を抑制する政府の取り組みの一環として、外国企業が運営するタイ国内の電子商取引プラットフォームに、事業登録とタイ国内での正式な事務所開設を義務付けることを発表した。
 タイ政府は、中国からの安価で低品質な製品の流入を抑制するため、電子商取引プラットフォーム関連の規制の改正を実施する予定である。その前例として、タイの電子商取引業界で論争の中心となっている中国の電子商取引プラットフォーム「Temu」を運営する中国企業をタイの
法人として登録した。同規制の改正が完了次第、すべての外国の電子商取引事業者は「Temu」のようにタイに法人として登録することが求められる。
 さらに、国内の中小企業を不当な競争から保護するため、政府は歳入法典を改正し、オンラインで販売される消費財に付加価値税(VAT)を課す予定である。また、オンラインで販売される商品の品質を管理するため、政府は農産物、消費財、工業製品の3種類の商品の検査を強化するとしている。 

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