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タイのニュース&トピックス:2024年11月前半


タイ電力公社が水力発電ダムに揚水発電を活用する計画(11月8日)

 タイ電力公社(以下EGAT)は、運営する3つの水力発電ダムに揚水発電システムを導入するための、実現可能性調査を実施していることを
発表した。
 同事業は900億バーツの投資を行う予定で、クリーンな電力を国内に供給し、太陽光や風力発電による電力不足の懸念を和らげるもので
ある。
 揚水発電システムの対象となる3カ所のダムは、Chulabhornダム(発電容量801メガワット)、Vajiralongkornダム(発電容量891メガワット)、Kathunダム(発電容量780メガワット)である。各施設はそれぞれ2034年、2036年、2037年に商業運転を開始する予定となっており、Chulabhornダムについては既に調査が進んでおり、環境影響表(EIA)が承認されている。
 なお同社は、既に、タイ北東部にあるLamtakong Jolabha Vadhanaダム(発電容量1,000メガワット)において、揚水発電システムを導入している。
 今後は、調査結果を受けて、この揚水発電システムによって再エネの利用が促進され、利益を確保できることが実証されると、同プロジェクトへの投資は内閣に最終決定される予定である。

タイ電力公社が石炭火力発電所の寿命を延長へ(11月12日)

 タイ電力公社(以下EGAT)は、発電所の耐用年数を延ばし、国内への低コスト電力の供給を延長するために、石炭火力発電所2基を改修する計画を発表した。 
 当該計画は、石炭がLNGよりも安価な燃料であることから、改修工事を実施することで低コストで電力を供給でき、電力料金の抑制を支援
するというEGATの取り組みの一環である。
 現在は、廃止段階に近づいている2基(8,9号機)の改修に関する実行可能性調査を行っている。石炭発電の他に液化天然ガス(LNG)を燃料とした発電方法もあるが、LNGは国内で生産されるガスよりも高価であり、国内のガス供給が減少しているタイでは、LNGの輸入依存度が高まっている。こういった背景からEGATは、高価な液化天然ガス(LNG)の輸入への依存を減らすためには、低コストで電力供給が可能な石炭での発電を行う必要があるとしている。
 一方、タイは、再生可能エネルギーの利用拡大を促進する2024年の電源開発計画に基づき、化石燃料の使用量削減に取り組んでいる。EGATは、新たな700メガワットのガス火力発電ユニットを開発するプロジェクトの入札を行う予定であり、電力料金の抑制の為の石炭火力発電所の改修と同時に再エネ促進の取り組みも進めていくとしている。

IBM社がタイ企業へのAI導入を促進(11月11日)

 IBM Thailand社は、今年のタイ企業の生成型AI(GenAI)の導入率は5~6%程度と推定しており、タイ企業の競争力向上のため、AI導入率を15~20%に引き上げたい意向を示している。
 同社によると、今年、タイでは生成AIのパイロットプロジェクトやPoC(概念実証)が数多く行われたが、大規模に展開されたものは僅かであった。同社は、ITインフラの整備や金融産業におけるAIの導入、セキュリティ、AIスキル、規制面での懸念が残り、生成AIの導入拡大には
至らなかったとしている。
 これに対して同社は、「オープンソースのAIモデル」・「信頼できるデータ基盤」・「リスクを軽減し、ガバナンスを備えたGenAIの拡張」
・「エコシステムの統合」を推進することで、タイ企業の生成AIの導入を促すとしている。
 同社の調査によると、AI導入による平均投資収益率は13%で、生成AIの早期導入者はその収益を2023年に31%に引き上げている。タイの
生成AI 市場は、今年1 億 8,000 万ドルに達すると予測されており、2024 年から2030年にかけて年間平均成長率(CAGR)が46.5%を記録
すると見込まれている。

 

 

デジタル経済推進庁が農場向け「デジタルドリアン」プロジェクトを開始(11月13日)

 デジタル経済推進庁(以下、Depa)は、デジタルプラットフォームを活用して、タイのドリアンの品質基準の設定と880万人のドリアン農家の生産性向上を支援する「One Tambon, One Digital(一村一デジタル)」の「デジタルドリアン」プロジェクトを開始したことを発表した。
 同プロジェクトは、タイのドリアン農家が作物のデータを記録、保存、追跡するためのアプリケーションを使用することで多くの課題に対処できるように支援することを目的としている。また同プロジェクトにより、国内外で消費者の信頼を築き、タイの高付加価値製品を世界的に
宣伝することが期待されている。
 タイには102万ライ(1ライ=1600平方メートル))のドリアン栽培地があり、153万トンを生産している。ドリアンの輸出量は、昨年輸出
された果物全体の7割程度である99万トンを占め、主に中国に輸出されている。タイのドリアン輸出市場は、今後2年以内に198億バーツに
達し、適正農業規範(GAP)基準で152,500トンに達すると予想されている。
 Depaは、2年間で6,100以上のドリアン農家に栽培データを記録するためのデジタルプラットフォームを導入することを目指しており、さらに、23県の12,200人の農家に電子商取引アプリケーションと適正農業規範(GAP)の認証に関するトレーニングを受けてもらい、国家農業プラットフォームの開発を支援するとしている。

タイ財務省財政局(FPO)が今年のタイのGDP成長率は2.7%見込みと発表(11月1日)

 タイ財務省財政局(FPO)は、タイのGDP成長率が今年2.7%、2025年に3%程度になる見込みを発表した。
 今年の成長率は、昨年のGDP成長率1.9%から回復しており、これは主に観光業によるものである。今年の外国人観光客数は前年比27.9%増の3,600万人に達し、観光業収益は37.4%増の1兆6,900億バーツに達する見込みである。観光客1人当たりの平均支出は4万7,000バーツと推定されており、10月時点での外国人観光客数は2,840万人で、1兆3,000億バーツの収益に達している。
 また同局は、来年のGDP成長率を2.5~3.5%と予想しており、2020~2021年の新型コロナウイルス感染症の流行以来最高の成長率となるとの見解を示している。これらの主な要因としては、①民間消費において2.9%の拡大が見込まれること、②主要貿易相手国の経済状況改善の恩恵を受け輸出部門において3.1%の拡大が見込まれること、③外国人観光客が8.3%増加し観光業収益の増加が見込まれることを挙げている。

 

 

財務省が塩分と脂肪分含有製品に対する税金を検討(11月5日)

 財務省は、健康予防対策として、塩分や脂肪分を含む製品への課税を検討していることを発表した。
 当該課税は、塩分含有量と脂肪の種類に基づいて特定の製品を対象とし、タイ人のナトリウムと脂肪の消費量を30%削減することを目指す
ものである。ナトリウム摂取量が多いと、高血圧、腎臓障害、心臓病、脳卒中のリスクが高まるが、タイ人が摂取するナトリウムの量は1日
あたり平均3,636ミリグラムで、世界保健機関(WHO)が推奨する2,000ミリグラムを大幅に上回っている。財務省は、国民の健康を促進し、公衆衛生予算の負担を軽減することを目的として、予防医療を支援しており、塩分・脂肪分含有製品への課税を通して、有害な食品の消費を
減らすことを検討している。
 なお財務省は、こういった物品課税は他分野(特に、自動車・石油・電池・タバコ産業)でも有効であるとの見解を示している。

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