インドネシアのニュース&トピックス:2023年10月前半
プルタミナとガルーダ・インドネシア航空が持続可能な航空燃料を使用した試験飛行を初実施(10月10日)
国営石油会社プルタミナとガルーダ・インドネシア航空は共同で、民間航空機用の環境に優しい燃料であるサステイナブル航空燃料(SAF)の開発を進めることで、二酸化炭素排出削減プログラムの実現に取り組んでいる。
SAFはこれまで静的試験を実施しており、今回初めて飛行試験を行った。初飛行試験は2023年10月4日にバンテン州タンゲランのスカルノ・ハッタ国際空港地区で実施された。
飛行試験では、ボーイング737-800型機にSAF(Bioavtur J2.4)を使用し、良好で制御された機体応答を示した。この結果を受けて、ガルーダ・インドネシア航空の商用フライトでのSAFの使用計画へと継続する準備が整ったとしている。
インドネシアのニッケル製品輸出額が10倍に急増(10月11日)
海事・投資調整省は、電気自動車用バッテリーの原料であるニッケルマットおよびニッケル・コバルト混合水酸化物(Mixed Hydroxide Precipitate: MHP)の生産・輸出が増加したことで、インドネシアのニッケル輸出額が10年間で10倍に急増したと発表した。
同省によると、2014年のニッケル派生品の輸出額は30億米ドルであったが、2022年には340億米ドルに達した。インドネシアが今後1~2年でリチウム電池を生産できるようになれば、この数字は伸び続けると予測される。
また、ニッケル製品の川下プログラムは、インドネシアの西部と東部の経済構造を強化している。当初はジャワ島に集中していた外国投資が、現在ではジャワ島以外の産業にシフトしている。
国営電力会社PLNの傘下の発電所内でグリーン水素プラントが稼動(10月11日)
国営電力会社のPLNは、傘下のPLN Nusantara Powerを通じて、北ジャカルタのムアラカラン・ガス火力汽力発電所 (PLTGU)の敷地内にインドネシア初のグリーン水素プラント(Green Hydrogen Plant : GHP)を開設した。
このプラントは、ムアラ・カランPLTGU敷地内に設置された太陽光発電所から供給される100%再生可能エネルギーを使用し、年間51トンの水素を製造することができる。また、太陽光発電所から発電される電力に加えて、カモジャン地熱発電所からのグリーン電力証書(REC)の購入によってグリーン水素が製造される。
将来的には、ジャワ島に水素プラントを持つPLN Nusantara Powerの発電所にも導入する予定であり、年間生産量を150トン程度に増加させる予定である。
インドネシア政府がメラウケの食料穀倉地帯プロジェクトを継続(10月11日)
インドネシア政府は、南パプア島のメラウケにおいて、砂糖と米の食料穀倉地帯プロジェクトを継続することを発表した。
メラウケが食料穀倉地帯として選ばれた理由は、「メラウケ統合食料・エネルギー団地(Merauke Integrated Food and Energy Estate: MIFEE)」という今回と同様のプロジェクトが前政権によって2010年から開始されたためである。但し、前回と異なり、今回政府が選んだプロジェクトの場所は、経済特区(KEK)として指定され、プロジェクトの建設投資に対して政府は財政的インセンティブを提供することを決定した。
将来的に、メラウケ食料穀倉地帯は、中部ジャワのバタン工業団地のように、民間セクターを巻き込みながら政府によって管理され、地域に多くの産業を興すことが期待されている。
エネルギー鉱物資源省が新エネルギーの導入を計画(10月12日)
エネルギー鉱物資源省は、グリーン水素から原子力まで、インドネシアにおいて多くの新エネルギーの利用を受け入れる準備を整えていくと述べた。
2060年のネット・ゼロ・エミッション(NZE)の目標を達成するために、インドネシアには手頃な価格で入手できる新エネルギーが必要となり、同省では特に原子力、水素およびアンモニアに注目している。
インドネシアにおける原子力の利用については、現在も活発に議論されており、最近は国際原子力機関(IAEA)の2023年総会において、インドネシアの原子力発電所(PLTN)利用計画が歓迎され、IAEAはその実施を支援すると述べている。
また、水素エネルギーに関して、インドネシア政府は現在国家水素ロードマップの作成を検討している。このロードマップには、2060年までインドネシアにおいて水素を導入する計画が盛り込まれ、規制、基準、インフラ、技術、需給などが規定される予定である。
イタリアの石油・ガス大手がインドネシアで巨大なガス埋蔵量を発見(10月14日)
イタリアの石油・ガス大手エニが、東カリマンタン州北ガナル鉱区のゲン・ノース1号試掘井において巨大なガス埋蔵量を発見した。
ゲン・ノース1号井は、インドネシア・東カリマンタン沖合約85kmに位置している。水深1,947メートルで深度5,025メートルまで掘削され、岩石物理学的特性の良好な中新世砂岩層中の厚さ約50メートルのガス柱を通過した。
発見したガスを評価するため、坑井生産テストが実施され、試験設備に制限はあるものの、坑井の生産能力は最大80~100MMscfd、コンデンセートは約5~6kbbldと推定している。
インドネシア石油ガス上流事業監督執行機関(SKK Migas)によると、今回の発見は2030年の目標である石油生産量100万バレル/日(Bopd)、ガス生産量120億立方フィート/日(Bscfd)に向けて、国の石油・ガス生産を持続的に増加させるための巨大発見のひとつであると述べた。