豊かで活気あふれるUAE消費者市場
UAEという国
UAEは、アブダビ、ドバイなど七つの首長国からなる連邦国家である。8.36万㎢の国土に958万人(2015年推定-IMF, World Economic Outlook)の人々が生活している。石油産出量が最大のアブダビが首都として機能している。歴史的にも貿易の中心であったドバイは、現在も中東のハブとして機能していることから、政治のアブダビ、経済のドバイと言われている。中東といえば石油大国で石油王が巨額の富を得ているという印象が強いと思うが、実はそれ以外の一般の人でも、かなり裕福な生活をしているようだ。
高い購買意欲
UAEの一人当たりの購買力平価GDPは全人口の約8割以上を占める外国人を含めても、2015年度には65,000米ドルで、世界7位という高水準である(世界銀行調べ)。ドバイ政府統計センターが行った調査によると、UAE 人世帯の平均消費支出は 2010 年 3 月時点で日本円に換算すると、約 79 万 6,000 円、同時点での日本の約 29 万 2,000円と比べると約2.73倍である。大卒の自国民の初任給のほとんどは500万円を超えるが、驚くことに、所得税がない。こうした恵まれた社会保障制度のもと,高級車に乗り,家政婦やベビーシッターを雇い,国民の誰もが不自由なく豊かな暮らしをしており,将来に対し不安がないといわれる。
ブランド志向
UAEの居住者は派手で高価な物を購入することに後ろめたさを感じる人は他の国より少ない。実際ドバイなどの街に行ってみると、グッチ、シャネル、クリスチャン・ディオール、ジバンシィ、フェンディといった高級ブランド製品を身につけた人々を多く見かけ、高級セダン、スポーツカー、大型SUV 車など高級車やスーパーカーも驚くほど多い。欧州車ではポルシェ、ベンツ、ランドローバーなど、高級自動車メーカーの SUV モデルが特に好まれ、日本車でも大型 SUV が高い支持を得ている。自身の所得水準以上に高級品を求める傾向があり、自動車ローンを組んで高級車を求める中間層も多い。一方で、富裕層も中間層もブランド価値を認めない製品に対しては、価格に厳しいという。
人気な日本製品
UAEの大手新聞(GULF NEWS)によると、UAEでの自動車の売上のうち69%が日本車である。なかでもSUVタイプの車が人気を集めており、TOYOTAのランドクルーザー、日産のパトロールを目にすることが多い。また、JETROの調べによると、UAE の消費者は日本製品に対して信頼性が高く、高品質であるというイメージを持っている。ほかにも、UAE市場で成功を収めている日本企業は少なからず存在する。「カンドゥーラ」という中東諸国の男性が全身にまとう真っ白な民族衣装があるのだが、実はこの衣装の生地「トーブ」のほとんどが、日本製だという。高品質であることから他国製品と比べ高い人気を誇っており、現地では日本製品のコピー商品まで流通しているそうだ。とくに、富裕層向けの高級トーブ市場は、日本の繊維メーカーが独占しているようだ。
国内市場が縮小していく中、日本企業は国内市場の需要創出もさることながらUAEのような海外市場にも目を向けている。現状として、日本製品はすでに海外の消費者に良いイメージを持たれており、「メード・イン・ジャパン」=高品質になっていることが多いが、ブランド力に関してはまだ十分あるとは言い難い。UAEのような海外市場で競争力を高めるには、これから日本製品のさらなるイメージアップとネームバリューの構築が欠かせないのであろう。
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