TICAD VIと東アフリカ経済の魅力
最後のマーケットと呼ばれるアフリカ市場。
日本からは、アフリカ大陸の一番近い場所で10,000kmほど離れており、実際の距離としては、東京ニューヨーク間とそれほど変わらない。
しかし、日本からは遥かに遠い存在として考えられているのではないだろうか。
そんな日本にとってそれほど馴染みのないアフリカ大陸では、ナイジェリアやエジプト、また以前ワールドカップが開催された南アフリカなどを中心に、急成長を遂げている。
そんな急成長を遂げているアフリカ大陸の中でも、
今回は、著者が2年間ほど住んでいた東アフリカ地域に注目してみたい。
東アフリカには、EAC(East African Community)と呼ばれる共同体が組織されていて、加盟国はケニア、タンザニア、ウガンダ、ブルンジ、ルワンダである。主に、域内での関税撤廃などを通して、人・モノの流通を促進し、経済の更なる発展を狙っている。人口規模としては、EAC全体で約1億5,000万人、GDPとしては1,460億ドルと試算され、人口規模は既に日本の人口を優に超えている。
(出典:EAC facts and figures 2016)
また経済面に関しては、北アフリカを除く、サブサハラ・アフリカ地域にて、ケニアがGDP成長率第4位、ケニアのすぐ真上に位置するエチオピアが第5位、ケニアのすぐ真下の国タンザニアが第6位と高い成長率を誇っている。
事実、2016年のGDP成長率予測を平均するとEAC加盟国の成長率は5%程で、これはアフリカの平均成長率よりも1%以上高い。細かく見るとケニア6.0%、ルワンダ6.8%、タンザニア7.2%とこれら3か国が大きく東アフリカ経済を牽引しており、更に、隣国エチオピアの成長率は8.1%と東アフリカ地域を中心に、経済成長が著しいことが顕著である。(出典:AfDB statistcs)
そんな経済成長著しい東アフリカ地域のひとつ、ケニアで昨年初めてTICAD VIが開催された。
TICADとは、アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development)というアフリカの開発をテーマとする国際会議で、今回で第6回目を迎える。1993年以降、日本政府が主に主導し、国連、国連開発計画、アフリカ連合委員会、世界銀行と共同開催しており、安部晋三内閣総理大臣も出席した。
前回の第5回は横浜で開催され、これまでに日本以外での開催は無かったが、今回初めてアフリカで開催された記念すべき回となり、結果として、TICAD VIでは、32か国から首脳陣がケニアを訪問、18,000人以上の要人が参加。また企業としては、社長を含め、4,000人ほどが日本とアフリカ各国から集まる大規模な国際会議となった。
またアフリカ開発首脳会議で、安部晋三内閣総理大臣は2018年までに官民総額300億ドル(約3兆円)の投資を行うことを約束。その内の100億ドルはインフラ整備に活用、またものづくりや保険分野を中心に1,000万人の人材育成にも力を入れることを表明し、日本政府としても、今後のアフリカ市場にも目を向けていることが分かる。
またアフリカ・日本の企業から4,000人参加したように、日本からも多くの企業がケニアへ足を運んだ。実際には、100社ほどの企業が展示会にて日本の技術や質をアピールし、また情報交換・ビジネス交渉も盛んに行われている様子が見て取れた。
私もその場に参加させて頂き、様々な企業の方とのお話をさせて頂く機会があったが、やはり企業のアフリカ進出における課題は、情報が未だに質・量ともに低いという事である。
自身も2年間、ケニアでの生活を送ってきたが、やはりアフリカで物事を始める上で、一番労力をかけたのが現場の情報取集であった。
ケニアにおいては、現在日系企業47企業が進出しており、アフリカ全土においても、3番目に日系進出企業数が多い国ではあるが、上記にあるように、「情報の欠如」による市場動向の不透明さから、依然日本企業がアフリカ進出を尻込みしている様に現場では感じた。
一方で、ヨーロッパ、中国系企業のアフリカ進出は勢いが止まらない。ケニアの地方部にいても上下水道やインフラ整備には中国企業が多く関わっているなど、以前の日系企業の競争相手として、欧州企業が多くを占めていたが、現在では、中国や韓国企業との競争も激化してきている。
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